2003/12/02 日刊工業新聞
「いい技術は売りません」
こんなキャッチフレーズのもと、ニッセー(山梨県大月市、新仏利仲社長、0554・26・5311)が、5軸CNC転造盤「GALAXYシリーズ」の外販を中止し、使用契約に切り替える方針を打ち出した。
工作機械・鍛圧機械のリースは一般的に行われているが、販売をやめるのは極めて異例。最大の理由は技術漏洩の防止という。果たして生産財の新しいビジネスモデルとなるか。
回転したダイス(ねじ切り工具)を押し当て、塑性加工でねじやギアを製造するのが転造盤。切削より大幅に加工コストが安く、量産に向く。
ニッセーはその専業メーカーだが、転造盤のCNC化で先行。微妙な制御により、クルマの電動パワーステアリング(EPS)用ウォームの転造に世界で初め て成功するなど、技術力では定評がある。ほかのギア類も含め、自動車部品会社からテスト加工が続々と寄せられているほどだ。
厳しい条件付きで、使用契約という新事業をスタートさせられるのも、こうした「売り手主導」の技術が背景にある。
提携相手となる三井リース事業の担当者も「これを第1号に、他の分野にも展開したい」と前向きだ。ただ、マシニングセンター(MC)など一般工作機械へ の適用は首をひねる。メーカーが多く、技術の差別化より価格の競争がより激しいため。機械分野では、転造盤のように競合が少なく、手厚い指導が必要な「手 離れの悪い機械」に限られるかもしれない。
一方、ニッセーでは厳しい条件の見返りに、ユーザー側の利点も強調。機械をブラックボックス化し、中古市場にも、当面は海外にも出さないことで、コピー機の出現を徹底的に抑え、ユーザー側の技術の漏洩も防ぐという。それと技術交流の緊密化だ。
コストダウンなどに役立つ技術を共同で生み出し、特許や技術を使用契約のメニューに盛り込んでいく考え。「ロイヤルティーで稼ぎ、生まれた技術をまた使 う。ユーザーと機械の技術のサイクルをともに育てるリーダーになりたい」。新仏社長の発想は、量を追求してきた工作機械業界へのアンチテーゼでもある。
【GALAXY使用契約の概要】(1)機械の保守メンテ・技術指導・使用契約を1つの商品にパッケージ化(2)契約期間は最低6年(3)改造と海外移設を厳禁(4)違反時には機械を引き上げ、残存期間の料金を一括請求。