2009/03/10 日刊工業新聞
転造技術はダイスと呼ばれる工具で棒状のワークを転がしながら成形する塑性加工だ。大きくは、円形のダイスを回転させる丸ダイス転造、板状のダイスを往復させる平ダイス転造の2形式に分けられる。もともと雄ネジの加工用に開発された技術で、歯車、スプライン、セレーション、ウォーム、ローレットなど、回転対称体の部品加工に広く用いられている。生産性が高く、加工品質が安定している一方、加工精度の確保が難しいとされている。転造関係各社は、より高精度で高品質な加工の実現に向け、研究開発に取り組んでいる。
材料を無駄なく活用~短い加工時間、長い工具寿命~
転造加工の最大のメリットは生産性の高さだ。塑性加工の一種であり、切削加工と比較すると加工時間は著しく短くてすむ。加工に用いる工具についても、切削工具に比べて転造ダイスは非常に寿命が長い。
材料の点では、無駄が生じない加工方法だといえる。ある加工品を得ようとするとき、切削加工であれば、材料の余計な部分を削り落として形を整える。削り落とされた材料は切りくずとなる。一方、転造加工では、絞る部分と盛り上げる部分によって成形するため、製品外径よりも細い材料を用い、切りくずを発生させることもない。
こうしたことから、転造は短い加工時間、長い工具寿命、材料を無駄なく利用する省資源性の加工方法といえる。ワークによっては切削加工の10分の1、20分の1という高い生産性を実現できる。加工に必要な力は局所的な加圧による塑性変形を連続的に行う逐次成形加工なので、鍛造加工よりも小さな力で大きな変形量を得られる。
また、工具であり金型であるダイスを用いた加工なので、個々の加工品の品質にバラつきが少なく、安定した加工精度を得ることができる。生産性の高さと合わせ、中・大量生産に適した特性を持つ加工技術だ。
塑性硬化で高強度
転造加工で成形することによって得られるメリットもある。被加工面は研削加工されたダイスによって押しつぶされるので加工品の面祖度は向上する。焼結歯車の圧密・仕上げ工程に適用する事例もある。
また、加工品の強度が高いことも大きな特徴だ。材料の内部を見ると、ファイバーフローと呼ばれる繊維状金属組織が成形によって切断されることがないこと、塑性変形によって被加工面が塑性硬化することから、同じ素材を切削した場合よりも強度は高くなる。このことから航空機用ネジなどの仕様において「転造品に限る」としている例もある。